イラクの首都バグダッドで7日、ムスタファ・カディミ首相の住宅が爆弾を積んだドローン(無人飛行機)攻撃を受けた。カディミ氏にけがはなく、首相府は「暗殺は失敗に終わった」と発表した。攻撃の犯行声明は出ていないが、攻撃の背景にはカディミ首相と、イランの支援を
更新情報
「イスラーム映画祭2」と「神のみぞ知る」世界 ~~ 先の見えない現実を生きる人間のリアリティー
<初出:WEBRONZA 2017年01月12日付> イスラム世界の映画を集めた「イスラーム映画祭2」が1月14日から20日まで東京・ユーロスペース、21日から27日まで名古屋シネマテーク、3月25日から31日まで神戸・元町映画館で、それぞ
シリア内戦の空爆の悲劇と日本の空襲の記憶をつなぐ
先週末、長崎県佐世保市にある長崎県立大学で新聞会主催「シリア内戦と日本の関わり」という講演をしました。 佐世保は私が高校時代を過ごした町で、私の亡母の故郷でもあります。母は昭和6年生まれで、生前、昭和20年に13歳の時に体験した佐世保空襲の下で逃げ回った
シリア内戦:ホワイト・ヘルメットの人命救助を「ねつ造」とするプロパガンダのうそ
シリアの反体制地域で人命救助にあたる市民組織の民間防衛隊(ホワイト・ヘルメット=WH)について、「英国情報部のプロパガンダ」とか、「アルカイダの手先」などと貶める宣伝が激しい。そのプロパガンダの中には、欧米人のジャーナリストも加担し、国際的に広まり、日本人
新書『「イスラム国」はテロの元凶ではない グローバル・ジハードという幻想 』 「おわりに」から
集英社新書から拙著『「イスラム国」はテロの元凶ではない グローバル・ジハードという幻想 』が12月16日に発売されました。 ジャーナリストとして<「イスラム国」のリアル>を探ったものです。 巻末の「おわりに」を引用します。 --------------------------------
エジプト映画 自由を求める若者を描く「マイクロフォン」 川上 泰徳
<ネタバレ注意> ※2012年12月12日、朝日新聞「中東マガジン」掲載 エジプト映画「マイクロフォン」(2010年)を、中東出張からの帰路の飛行機の中で見た。私はこの映画が出来た年にエジプトにいたし、それもこの映画の舞台となったエジプトの地中
「イスラム国」の陰にある本当の問題 <初出/2015年5月13日 Yahoo! ニュース掲載>
中東情勢について大学や市民の会などで話をする時に、過激派組織「イスラム国(IS)」への関心が高く、「なぜ、あんなに残酷なのか」「イスラムの教えはテロを認めているか」のような質問を受けることもある。 イスラムを考える上で、暴力やテロがイスラムの名のもとに「
ヌスラ戦線がスペイン人ジャーナリスト3人解放、カタールが仲介、安田さんでもかぎを握る?
ジャーナリスト3人の解放を伝えるスペインのエル・パイス紙のインターネットサイト (※初出 Yahoo!ニュース 2016年5月8日) シリア北部に支配地域を持つシリア反体制のイスラム武装組織「ヌスラ戦線」に拘束されていたスペイン人ジャーナリスト3人が5月7日
パレスチナ映画『オマールの壁』の謎解き ※ねたばれ注意
ニューズウィーク日本版のコラムで<映画『オマールの壁』が映すもの>という文章を2回に分けて書いた。人間ドラマとしての読み解きやパレスチナ問題との意味合いの解説である。しかし、映画を見終わって残る謎については、コラムでは書かないことにした。謎とは、なぜ、主
ドイツまで歩いたシリア難民の証言
●シリア出国 内戦のシリアから欧州を目指す難民の流れが止らない。密航者は政権軍の攻撃を受ける反政府勢力支配地域だけでなく、ダマスカスなど政権支配下からも多くの人々が出国し、欧州を目指す。密航には様々な方法やルートがあるが、私は今春、ドイツにたどり着いて難
旅券返納命令への異議(下) 日本のジャーナリストが中東を取材する意味
※WEBRONZAで2015年2月23日掲載 ジャーナリストの後藤健二さんが「イスラム国」によって殺害されたとき、オバマ大統領は声明を出し、「後藤さんは勇敢にもリポートを通じてシリアの人々の苦境を外の世界に伝えようとした」とたたえた。 それに対して、自民党の高村正彦
旅券返納命令への異議(上) 政府・外務省はジャーナリストの役割を理解していない
※WEBRONZA2015年02月21日に掲載 シリアへの取材を計画しているジャーナリストに外務省が旅券を返納させた問題が、憲法で保障する「移動の自由」や「言論の自由」の侵害に当たらないのかと議論になっている。 この問題では、私もフリーランスのジャーナリストの会合などに
「イスラム国」邦人人質事件を問う [4]「闘う」決意より、命と生活のための支援を
※朝日新聞WEBRONZA(2015年02月04日) 安倍首相は2013年9月の国連総会演説で、日本の中東への関わりとして、ヨルダンの南部地域で、「女性の地位向上や家族計画」プロジェクトにマネジャーとして関わったJICA(国際協力機構)の佐藤都喜子さんの名前を挙げて取り上げた。
「イスラム国」邦人人質事件を問う [3]日本が中東でできることは何か
※朝日新聞WEBRONZA(2015年02月03日) シリアとイラクにまたがるイスラム過激派組織「イスラム国」による日本人拘束事件で、湯川遥菜さんと後藤健二さんの日本人2人が殺害された。この事件は、日本がこれから「イスラム国」にどのように対応するか、というだけではなく、中
「イスラム国」邦人人質事件を問う [2]イスラム国の「日本敵視」に対抗するために
※朝日新聞デジタル:WEBRONZA 2015年02月02日後藤さんを殺害する「イスラム国」の映像が2月1日、インターネットで公表された。事件は最悪の事態となった。「イスラム国」の残虐さを許すことはできない。しかし、今後、日本政府と日本国民は、「イスラム国」にどのように対
「イスラム国」邦人人質事件を問う [1]「日本が戦争を支援」と誤解された理由
※朝日新聞デジタル:WEBRONZA 2015年01月31日 「イスラム国」による日本人拘束事件は、安倍首相が掲げる「積極的平和主義」によって日本人が中東で敵視される危うさを露呈させた。 事件は、安倍首相の中東歴訪のさなかで、それも首相のカイロでの演説を受ける形で起きた
フランスの襲撃事件と中東のミリタリズム(下) 希望を失った若者たちが過激派に引きつけられる
*朝日新聞WEBRONZA 2015年01月14日 暴力は、新たな暴力を生み、その連鎖は地域を超えて波及する。 フランスの週刊新聞「シャルリー・エブド」の襲撃事件を考える時、そのような思いを強くする。「イスラム国」を生み出した暴力の発端は、イラクにミリタリズムを蔓延させ
フランスの襲撃事件と中東のミリタリズム(上) 欧米で武装テロが続く転換点か?
*朝日新聞WEBRONZA 2015年01月13日 フランスの週刊新聞「シャルリー・エブド」の襲撃事件は、イスラム過激派によるテロの脅威を如実に示した。 この事件で、注目しなければならないのは、大量の武器を用意して実行された武力攻撃だったという点だ。9・11事件後
「イスラム国」と「アラブの春」の関係は
(2014/10/29 asahi中東マガジン掲載)イラクとシリアにまたがる「イスラム国」に対する米国による空爆が始まって1カ月を過ぎたが、長期化は必至という報道が目立っている。欧州諸国による空爆への支援も、足並みは乱れ、さほどの本気度はない。しかし、欧米の論調をみ
北大生「イスラム国」渡航未遂事件から見えてくるもの
(2014/10/14 asahi中東マガジンで掲載) シリアからイラクにまたがるイスラム過激派組織「イスラム国」に世界から多くの戦闘員が参加しているという。日本からも「イスラム国」へ行こうとした北大生が「私戦予備及び陰謀」の疑いで警視庁の事情聴取を受けた。東京の古書
アラブ湾岸王国が米国の「イスラム国」空爆に参戦した背景
(2014/09/25 asahi中東マガジンで掲載) 「イスラム国」打倒を唱える米国がシリア領内のイスラム過激派組織「イスラム国」の拠点への空爆を始め、サウジアラビア、アラブ首長国連邦(UAE)、ヨルダン、バーレーン、カタールの5カ国が軍事行動に参加した。いずれも親米
オバマ大統領の「イスラム国」への宣戦布告の危うさ
(2014/09/18 asahi中東マガンで掲載) 米国のオバマ大統領がイラクとシリアにまたがるイスラム過激派組織「イスラム国」に対する空爆を拡大することを宣言した。「テロとの戦い」の論理を前面に出して、軍事行動をとるのは、オバマ大統領としてはイスラム国への宣戦布告とも
バグダッド・ルポ 近づく戦火に息を殺す市民
※記事初出: 2014/6/29 中東マガジン(朝日新聞社)「この外国人は何者だ。身分証明書を出せ。日本人か」ーー自動小銃を持った兵士が車の窓ごしに鋭く問う。バグダッド市内には、いたるところに軍と治安部隊の検問がある。装甲車や機関銃を積んだ車両があちこちに陣取る。
イラク危機:イラク・シリア・イスラム国(ISIS)の急拡大を読む
(2014/06/14 asahi中東マガジン掲載) イスラム過激派組織「アルカイダ」の流れをくむ「イラク・シリア・イスラム国(ISIS)」が、イラク北部の第2の都市モスルやさらに南のティクリートを制圧した。これまでイラク国内でISISの支配地域が明確な形で出てきたことはなかった